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戦争の原因をめぐって・11

 戦争の原因をめぐっては、古くからいろいろな研究があるのだが、新しい成果も少なくない。そのなかで、考えなければならないのは、国家と戦争の関係である。

 私は、なんとなくだが、国家が成立する以前は戦争はなかったと思い込んでいた。いや、私だけでなく、そう考えていた人は少なくないと思う。

 原始共同体というのは、その名前が示すとおりの共同社会であって、暴力というものと無縁だという考え方、理論が通用していた。実際、国家成立以前に戦争があったかどうかは、何か文献が残されているわけでもないし、証明が難しい。そのこともあって、そういう考えが通用していた時代が長かったのだ。

 だけど、最近、いろいろな発掘調査の結果、それが覆ってきている。国家の成立以前でも、大規模な戦闘の痕跡が残されていることが分かってきたし、外敵の襲撃を想定して集落を防御する陣地のようなものも見つかっているそうだ。

 これは、過去の見直しだけに済まない。マルクス主義というのは、共産主義社会になれば、いっさいの戦争も暴力もなくなると主張してきたからだ。

 もちろん、実際に目の前に存在してきた社会主義は、戦争と無縁どころか戦争と親和性があった。そのことがマルクス主義の信頼性を低下させてきた。だから、共産主義社会では戦争がないなんて主張しても、一般社会ではまったく通用しない。

 一方で、そういう現実にたいして、「現実にあるのは社会主義とはよべない社会だ」とする立場もありうる。そして、本来の社会主義・共産主義では戦争も暴力もないのだという考え方を対置することは、理論的には可能である。

 しかし、原始共同体で、国家がない時代にも戦争があったということになれば、理想の共産主義社会ができたときに戦争はなくなるのという理論も、よくよく吟味しなければならなくなる。考えるべきことは深いし、多い。

 なお、国際政治学では、共産主義こそ戦争の原因だとする有力な主張が存在してきた。実際にソ連などが戦争をしてきた現実があるから、それなりに支持を得てきたのだ。

 しかし、ソ連や社会主義が崩壊して、その後、たくさんの戦争があったから、そういう学説もまた有効性を失ってきたと言える。戦争の原因をめぐる研究は、歴史の現実をふまえ、いまこそ活発にしなければならないだろう。(続)


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